ゆっくりと、じっくりと。
これから造ろうとしているモノは"家"です。
何十年と共にする場所だから、とことん話し合います。
お話を重ねる中で、住まい手の心を組み、風土を活かし、
数十年先も素敵な暮らしが目に浮かぶ提案を心掛けています。
木材はもちろんの事、石や土、鉄にビニール。
多くのものが使われる木造建築。
どれにも一長一短があります。同じ素材でも質の良いもの。
そして、それらを生かすには、その素材の特性を活かし、“らしく”使ってあげる事だと思っています。
そしてもう一つは、できるだけでいいから環境への負担が少ないものを使うこと。全てじゃなくても、少しだけでもの気持ちが未来を変えると思っています。
プレカットが9割以上のこの時代。化石になりつつある手刻みと土壁の仕事。よく、“何がいいの?”と、きかれます。僕は“好きだからやってる”と答えます。理由はあれど、好みと感覚、価値観の違いが大きいと思うからです。どちらもいい所あり、その工法なりに臨機応変にいいものを造る事が大切だと思います。施主の想いを感じ、木を見極め、魂を込めて墨を打ち、刃物を入れる。木造の弱さを謙虚に受け止め、最善を尽くす。手仕事でしかできないこと、出せない空気感はあると思っています。コンクリートと鉄のように、木組と土壁はとても相性の良い組み合わせです。
石場建て構法においては、絶対でもあります。